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大腸CT検査と大腸内視鏡どっちがいい?それぞれのメリット・デメリットを解説

大腸CT検査と大腸内視鏡どっちがいい?それぞれのメリット・デメリットを解説

近年、大腸がんは増加の一途をたどっています。このような状況に対応するためにも、大腸の検査を定期的に行うことが大切です。

大腸の精密検査で調べてみると、大腸内視鏡検査(大腸カメラ)と大腸CT検査(CTコロノグラフィー)があります。この2つの検査の違いについてよくわからないという方も多いのではないでしょうか。

結論から言いますと、「大腸内視鏡検査が最も大切で、内視鏡検査が出来ない人は大腸CT検査でもやむを得ない」ということになります。

つまり現時点で、この二つの検査は同じレベルの検査ではないという点に注意が必要です。あくまでも大腸内視鏡検査の方が検査の質という点だけ考えれば明らかに優秀です。

この記事では、大腸内視鏡検査と大腸CT検査の違いを比較しながら、大腸内視鏡検査をおすすめする理由について詳しく解説します。

それぞれのメリット・デメリットをまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。

大腸CT検査と大腸内視鏡どっちの方がいい?

大腸CT検査と大腸内視鏡どっちの方がいい?

繰り返しになりますが、大腸CT検査(CTコロノグラフィー)よりも大腸内視鏡検査(大腸カメラ)の方が検査としては優秀です。

大腸CT検査は大腸内視鏡検査の代わりになるものではなく、あくまでも内視鏡検査が出来ないときのための次の選択肢ということは改めて強調しておきたいです。

それでは、ここでそれぞれの特徴について解説します。

大腸CT検査(CTコロノグラフィー)とは

大腸CT検査は、CTコロノグラフィーと呼ばれることもあります。

肛門から炭酸ガスを注入して腸管を膨らませた状態でCT撮影を行い、撮影した画像に対して3D構築を行います。大腸の立体画像を作り、大腸がんや大腸ポリープを見つけようとする検査です。

大腸内視鏡検査と比較して、内服する下剤が半分程度であり、また内視鏡を挿入する必要ないので、楽に検査ができるというのが最大のメリットです。

しかし、残念ながらデメリットが多い検査でもあります。詳しくは後述しますが、なによりも大腸CT検査はあくまでも検査のみということです。

大腸内視鏡検査であれば、ポリープを見つけた場合、その場で切除することで治療も一度に終わらせることができます。大腸CT検査で何か異常が見つかった場合には、結局、確認や治療のために大腸内視鏡検査を行う必要があります。

また、大腸CT検査では大腸を直接観察している訳ではないので、小さめの病変や、大きくても平坦で粘膜に這うような病変は見つけづらい点も無視できません。

大腸内視鏡(大腸カメラ)とは

大腸内視鏡検査はいわゆる大腸カメラと呼ばれる検査です。肛門から内視鏡を挿入して、大腸の中を直接カメラで観察します。

最大のメリットは、大腸内視鏡検査では大腸の中を直接観察するため、小さいポリープや早期がんなどのわずかな病変も見つけることができます。

また、その場でポリープの切除も行うことができ、治療まで一度の検査で完結することができます。

デメリットは、大腸CT検査と比べて、検査自体が大変であることが挙げられます。具体的には検査前の内服すべき下剤の量が多いことや、内視鏡を挿入することによる検査時の不快感などがあります。

しかし、メリットがあまりにも大きいことや、大腸内視鏡検査の苦しさについては工夫しだいで大きく軽減できるということは留意する必要があります。

大腸内視鏡の方がおすすめ

それでは、大腸CT検査と大腸内視鏡検査のどちらを行うのが良いのでしょうか。

結論としては、大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を強くおすすめします。

「しっかりと大腸の検査をしたい」ということに重きを置く場合、私は大腸CT検査と大腸内視鏡検査は比較の対象にはなりえないと考えています。

やはり、小さい病変や平らな病変なども見つけることが可能で、治療も同時にできる、大腸内視鏡検査の大腸CT検査に対する優位性は明らかです。

大腸がんは非常に多く、増加傾向のある悪性腫瘍ですが、そのほとんどは大腸ポリープが悪性化することで大腸がんになることが知られています。

つまり、良性である大腸ポリープのうちに切除してしまえば大腸がんの発生を防ぐことが出来ます。そして、大腸ポリープを切除することが出来るのは大腸内視鏡検査のみです。

もちろん「大腸カメラはつらい」という印象をもっている方が多いことは無視できません。しかし、これに関しては、やり方しだいでは大腸内視鏡検査の苦痛は大幅に軽減できることを知っていただきたいです。

上野消化器内視鏡クリニックであれば、下剤を胃カメラから注入する「下剤を飲まない大腸カメラ」や、鎮静剤を使用した「眠った状態での大腸カメラ」など、苦痛の少ない大腸内視鏡検査が可能です。

大腸内視鏡検査に不安がある方などは、ぜひ一度当院にご相談ください。

大腸内視鏡検査は気軽に受けられる検査とは言いませんが、多少なりとも頑張る価値のある非常に優秀な検査です。大腸がんを防ぐためにも、ぜひ定期的に検査することをおすすめします。

大腸CT検査(CTコロノグラフィー)のメリット・デメリット

大腸CT検査(CTコロノグラフィー)のメリット・デメリット

ここではより詳しく、大腸CT検査のメリット・デメリットを整理していきましょう。

メリット デメリット
・大腸内視鏡に比べて検査が楽

・大腸内視鏡検査ができない症例でも可能

・大腸以外の臓器の病気が見つかることもある

・5mm以下のポリープや平坦な病変は見つけにくい

・異常が見つかったら大腸内視鏡検査を受ける必要がある

・潰瘍性大腸炎などの粘膜に異常がある病気は評価できない

・放射線被ばくがある

ここでは上記のメリット・デメリットについてそれぞれ解説します。

大腸CT検査のメリット

大腸CT検査には以下のようなメリットがあります。

  • 大腸内視鏡に比べて検査が楽
  • 大腸内視鏡検査ができない症例でも可能
  • 大腸以外の臓器の病気が見つかることもある

ここでは上記3つのメリットについてそれぞれ解説します。

大腸内視鏡に比べて検査が楽

大腸CT検査のもっともすぐれたメリットは検査を受けるのが楽ということでしょう。大腸内視鏡検査に比べれば、飲む必要のある下剤の量も少なくできます。

また、内視鏡検査では腸の中に内視鏡を入れるため、不快感が出てしまう人もいます。大腸CT検査ではガスを入れて腸を膨らませるだけですので、不快感は少ないです。

しかし、この大腸内視鏡検査の苦痛に関しては鎮静剤を使用し、また熟練した検査医のもとで行えば非常に軽減できることは知っておくべきです。

下剤の内服が困難であれば、胃カメラから下剤を注入する方法などを行うことで、ほとんど下剤を内服しないでも大腸内視鏡検査は実施できます。

大腸内視鏡検査ができない症例でも可能

大腸CT検査は大腸内視鏡検査ができない方でも可能な場合があります。

以前の手術の影響などにより、非常にまれなケースではありますが、どうしても内視鏡では通過させることができない腸の方がいます。

このような場合は、大腸内視鏡検査は構造的に無理なので、大腸CT検査を行うことになります。大腸CT検査は、このように限られた条件下では非常に頼りになる検査であると言えます。

大腸以外の臓器の病気が見つかることもある

大腸CT検査はCT検査ですので、大腸周囲の臓器も一緒にうつってきます。その際に、偶然、病変が見つかる場合もあります。

しかし、この偶然を期待して大腸CT検査を行うのは、高精度の大腸検査を行うという趣旨から外れています。

大腸CT検査のデメリット

大腸CT検査のデメリットは以下の通りです。

  • 異常が見つかったら内視鏡検査を受ける必要がある
  • 5mm以下のポリープや平坦な病変は見つけにくい
  • 潰瘍性大腸炎などの粘膜に異常がある病気は評価できない
  • 放射線被ばくがある

ここでは上記4つのデメリットについてそれぞれ解説します。

5mm以下のポリープや平坦な病変は見つけにくい

大腸CT検査の大きなデメリットの一つは「5mm程度のポリープや平坦な病変は見逃しやすい傾向にある」ということです。

このような検査精度は、やはり直接大腸の内部を観察できる大腸内視鏡検査の方が優れています。大腸CT検査で「異常なし」となったとしても、治療の必要な病変が隠れている可能性があります。

異常が見つかったら内視鏡検査を受ける必要がある

そしてもう一つの大腸CT検査の大きなデメリットは治療ができないことです。大腸内視鏡検査であれば、ポリープが見つかった場合、その場で切除できるため一度の検査で完結できます。

しかし、大腸CT検査で異常を認めた場合は、検査結果が正しいかの確認、あるいは治療するために大腸内視鏡検査を受けなおす必要があります。

大腸CTでは検査結果が「異常なし」であっても病変が隠れている可能性が残り、「異常あり」であれば、結局、大腸内視鏡検査を受ける必要があるのです。

このような理由で、やむを得ない事情がない限りは、大腸CTではなく大腸内視鏡検査をおすすめしています。

潰瘍性大腸炎などの粘膜に異常がある病気は評価できない

大腸CT検査はあくまでも「でっぱり」を見つける検査ですので、腫瘍以外を目的にした検査は難しいです。例えば、潰瘍性大腸炎のような粘膜に異常がでる場合には、大腸CT検査は適していません。

このため、腹痛や下痢など腹部症状の原因精査のためには大腸CT検査は保険適用がありません。お腹の症状に困っている場合は、大腸内視鏡検査をうけましょう。

放射線被ばくがある

大腸CT検査のデメリットとして、被曝が挙げられる場合があります。ただ、これについては個人的にデメリットというほどのことには感じません。

確かにCT検査ですので、被曝はあります。しかし、現在の大腸CT検査では使用される線量は非常に低いです。いずれにしても人体にとって健康被害をおこすような強さではありません。

以上の理由から、放射線被ばくを理由に大腸CT検査を避ける必要はないと私は考えています。

大腸内視鏡のメリット・デメリット

大腸内視鏡のメリット・デメリット

次に大腸内視鏡検査のメリット・デメリットを整理していきましょう。

メリット デメリット
・ポリープや腫瘍を検査中に切除可能

・小さな病変や平坦な病変も見つけやすい

・粘膜の状態を観察可能

・内視鏡検査の前準備がやや大変

・内視鏡を挿入する際に苦痛を伴う可能性がある

・稀に大腸の状態によっては大腸すべてを観察できない場合がある

大腸内視鏡のメリット

大腸内視鏡には以下のようなメリットがあります。

  • ポリープや腫瘍を検査中に切除可能
  • 小さな病変や平坦な病変も見つけやすい
  • 粘膜の状態を観察可能

ここでは上記3つのメリットについてそれぞれ解説します。

ポリープや腫瘍を検査中に切除可能

大腸内視鏡検査をおすすめする最大の理由は治療も検査と同時に完結できることです。大腸内視鏡検査ではポリープを見つけた場合に、その場で内視鏡的に切除することが可能です。

繰り返しになりますが、大腸CT検査では異常があった場合は、結局、大腸内視鏡検査を行う必要があるため二度手間になってしまいます。

もちろん、出血のリスクの高い大きな病変や大腸がんなどの切除の前に精査が必要な場合は入院できる医療機関に紹介となり、再検査になる場合もありますが稀です。

大腸ポリープが悪性化して大腸がんになることが非常に多いため、悪性化しうるタイプのポリープは切除しておく必要があります。逆に言うと、ポリープの段階で切除しておけば、大腸がんを予防することが可能です。

そのため、大腸内視鏡検査はただの検査ではなく、治療や予防も兼ねている非常に優秀な検査です。これこそが定期的な内視鏡検査が年々増加している大腸がんで苦しまないために欠かせない理由です。

小さな病変や平坦な病変も見つけやすい

大腸CTでは5mm以下のポリープや厚みのない平坦な病変は見つけにくいことを記載しましたが、大腸内視鏡検査では1mm程度の病変でも見つけることが可能です。

ポリープといっても全ての病変が厚みがあり、ポコッとでているような形ではありません。厚みがない平坦な病変であっても悪性化する可能性が高い病変も多くあります。

このような病変を見つけるためには、大腸内視鏡検査であっても丁寧に観察を行わないと見つからない場合も多いです。内視鏡検査を定期的に繰り返すことで、一度では発見できなかった病変をもれなく見つけだし切除することが大切です。

粘膜の状態を観察可能

大腸内視鏡検査では直接、大腸の粘膜を観察するため、大腸粘膜の状態も把握することができます。そのため、潰瘍性大腸炎などの粘膜の状態の観察が重要な病気には不可欠な検査です。

腹痛や下痢、血便の原因などを調べる際には、ポリープだけ見つければ良いという訳ではないです。粘膜の状態によっては、組織を採取し、病理検査による精密検査が重要です。

ポリープも切除可能で、粘膜の変化にも精密検査が可能な大腸内視鏡検査はほとんど全ての大腸疾患に柔軟に対応できると言って良いと思います。

大腸内視鏡のデメリット

大腸内視鏡のデメリットは以下の通りです。

  • 内視鏡検査の前準備がやや大変
  • 内視鏡を挿入する際に苦痛を伴う可能性がある
  • 稀に大腸の状態によっては大腸すべてを観察できない場合がある

ここでは上記3つのデメリットについてそれぞれ解説します。

内視鏡検査の前準備がやや大変

大腸内視鏡検査は検査前に大腸の中をきれいにする必要があるので、検査前に2L程度の下剤を内服する必要があります。

この下剤には独特の味がありますので内服が苦手な方も多いのは確かです。大腸CT検査では半分の1L以下で大丈夫な事を考えると、前準備の負担がやや大きいです。

当院では下剤内服が苦手な人には、下剤の種類を変更して味を変えることなどの工夫をしています。また、どうしても多量の下剤内服が出来ない方には、胃カメラから下剤を入れることも可能です。

この場合の流れは、鎮静剤により眠った状態で胃内視鏡検査を受けます。胃の観察が終わった後に、検査終了する前に胃カメラから下剤を入れていきます。検査が終わって、目が覚めた時には既に下剤が腸に流れていますので、自力で下剤を内服する必要はありません。

このように、大腸内視鏡検査のデメリットである前準備の大変さは、工夫しだいで軽減できることは知っておいていただければと思います。

内視鏡を挿入する際に苦痛を伴う可能性がある

大腸内視鏡検査のもう一つの嫌な事として、内視鏡が腸内を進んでいくため違和感や苦痛を感じることがあることです。

この検査時の苦痛は全員に生じるものではなく、患者さんによって大きなバラつきがあります。帝王切開や虫垂炎などの腹部の手術歴があり腸管が癒着してしまっている方や、腸が長い方などは苦痛が大きい場合があります。

しかし、この検査時の苦痛は検査医の腕前によっても大きく軽減できますし、鎮痛剤や鎮静剤を使用することで眠った状態で苦痛を感じなくさせることもできます。

そのため、大腸内視鏡検査は検査が得意な医療機関を探して、検査を受けることで驚くほど検査を楽に受けることが可能になります。

上野消化器内視鏡クリニックでは、熟練の内視鏡医が責任をもって、様々なテクニックを駆使するとともに、鎮静剤を使用して検査時の苦痛を大幅に軽減した大腸内視鏡検査を提供しています。

稀に大腸の状態によっては大腸すべてを観察できない場合がある

ここまで、大腸内視鏡検査が大腸CT検査と比較して優れた検査であることを説明してきましたが、大腸CT検査が必要なシチュエーションもあります。

大腸が手術の影響や過去の炎症の影響で狭くなってしまい、物理的に内視鏡が腸内を通過できない場合が稀にあります。

このような場合には、内視鏡を使用せずに、空気で腸管をふくらませる大腸CT検査が有効です。

ただこのような場合であっても、内視鏡が通過できないほどの狭窄が、なぜおこっているのか、大腸がんではないか、など精密検査のために、結局、大腸内視鏡検査が必要になってくる場合が多いため、デメリットと言えるかは微妙なところです。

まとめ

大腸CT検査と大腸内視鏡検査はどちらも大腸を調べる検査ですが、実際には検査できる内容は大きく違います。

前述のように、検査精度も高く、検査と治療が一度で完結できる大腸内視鏡検査を強くおすすめします。

上野消化器内視鏡クリニックでは、熟練の内視鏡専門医による大腸内視鏡検査を行っています。

鎮静剤を使用して眠った状態で検査することも可能なため、以前大腸内視鏡検査で苦しい思いをしたという方もぜひ一度当院までご相談ください。