経口内視鏡検査・経鼻内視鏡検査とは?それぞれメリット・デメリットについて解説
胃カメラ検査は喉(のど)を通って、食道、胃、十二指腸を内視鏡で直接観察する検査です。
食べ物の通り道である消化管(食道→胃→十二指腸→小腸→大腸)の上の方を観察することから、上部消化管内視鏡検査とも言われます。
胃カメラ検査には内視鏡を鼻から挿入する場合と、口から挿入する場合があります。
特に鼻から挿入することを経鼻内視鏡検査と呼び、口から挿入することを経口内視鏡検査と呼びます。
胃カメラを受ける時に口からか鼻からか迷うことがあるかと思います。この記事では、鼻からと口からのどちらを選べば良いか、上野消化器内視鏡クリニックでの検査をもとに詳しく解説していきます。
楽に検査を行うなら鎮静剤を使用するのが一番おすすめ
患者さんが「鼻からが良いか?それとも口からが良いか?」と悩まれる理由は「どちらが楽に検査を行えるか」という点につきるかと思います。
そういう文脈において、口からか鼻からかを考える前に、まずは「鎮静剤を使用した胃カメラ検査」を検討いただくことをおすすめします。
そもそものお話になりますが、胃カメラ検査を最も苦痛なく受けられる方法は鎮静剤を使用した検査であることは間違いありません。
鎮静剤を使用すれば、ウトウトして意識がないうちに検査が終了するため、検査による苦痛を心配する必要はありません。
また鎮静剤を使用する場合は、特別な理由がない限り、口から内視鏡を挿入していきますが、眠ってしまっていますので、口からが苦手な人であっても苦痛はないのでご安心ください。
費用が気になる方もいらっしゃるかとおもいますが、保険診療であれば、3割負担であっても500~1000円程度の差額で鎮静剤による検査が可能です(使用する薬剤によって多少誤差があります)。
とはいえ、内視鏡検査の際に鎮静剤が使用できない場合があります。
例えば、当院が位置する台東区で行われている「胃がん検診」では鎮静剤の使用が認められていません。
そのため、区の胃がん検診を利用して検査を行う場合は、やはり「鼻からにするか、口からにするか」という事は決める必要があります。
ここからの話は「鎮静剤を使用しないで検査をする場合」の話であることにご留意ください。
経鼻内視鏡検査と経口内視鏡検査の違いは
まずは鼻から内視鏡を挿入する経鼻内視鏡検査と口から挿入する経口内視鏡検査の違いを解説していきます。
それぞれどのような長所や短所があるのでしょうか。
挿入する内視鏡の太さの違い
一番、大きな違いは鼻からは「細い内視鏡以外は挿入できない」ということです。
これは口の大きさと鼻の穴の大きさを比べれば一目瞭然です。鼻からは鼻の穴よりも細いカメラしか挿入することはできません。
実際に経口内視鏡検査で一般的に使用されるスコープの太さは直径9mm程度ですが、経鼻内視鏡検査で使用するスコープはそれよりも細い6mm程度です。
当然、細いスコープの方が検査時の苦痛の面から考えると優れています(太いスコープを飲み込む方がつらいのは当然です)。
そうであれば、「口からでも細い内視鏡で検査をすれば良いのではないか?」と考える方もいらっしゃると思います。それは非常に良い指摘です。
質の良い内視鏡検査を行うために
一般的な細いスコープの欠点は「画質の悪さ」です。やはり、太い内視鏡の方が画質が良いのは間違いありません。
この画質の差が検査の質に大きく影響するため、「可能であれば口から検査をして、良いカメラで観察したい」となるわけです。
しかし、ここで注意が必要です。それは検査施設により、それぞれ採用されている内視鏡スコープや内視鏡システムが違うということです。
内視鏡の画質はスコープとシステムの品質に大きく左右されます。そしてそれらは高品質のものであればあるほど、導入するためには費用がかかるため、導入している施設は限られます。
上野消化器内視鏡クリニックではフジフイルム社の最上位機種である「ELUXEO 8000」システムに、こちらも最上位機種である経鼻内視鏡「EG-840N」を導入しています(2025年12月現在)。
当院の内視鏡機器であれば、細いスコープであっても、非常に高画質であり、口から挿入する用の最上位の太いカメラと比較してもほとんど変わりありません。実際に、従来機種の太いカメラよりも胃の粘膜を鮮明に映し出すことが可能です。
こういった理由もあり、当院では鎮静剤を使用せずに意識がある状態での胃カメラ検査では、口からの検査であっても、この高性能な細いスコープを口から挿入しています。
細い内視鏡でも非常に高画質なため、わざわざ太い内視鏡を飲みこんでもらう必要がないからです。
高画質な内視鏡で質の高い胃カメラ検査をご希望の方は、ぜひお気軽に当院までご相談ください。
喉(のど)を通過するまでの経路の違い
先述したように当院の検査においては、鼻からの検査であっても口からの検査であっても、どちらも非常に高画質な内視鏡を使用するため、画質の違いは考える必要はありません。
それではその他の点から鼻と口のどちらが良いか比較してみましょう。
そもそも経鼻内視鏡と経口内視鏡の違いは、喉(のど)を通って食道に入るまでのルートの違いになります。
経鼻内視鏡は鼻の穴を通って、口蓋垂(のどちんこ)の裏からでてきて、喉を通過していきます。一方で、経口内視鏡は口の中、ベロの上を沿って喉までたどり着きます。
喉を通ってからのルートはどちらも食道⇒胃⇒十二指腸と通過していきますので違いはありません。
つまり検査中の操作で鼻の穴がこすれるか、ベロの上をこするかの違いになります。そして、これは一概にどちらが楽かとは言えない面があります。
経鼻内視鏡の方が嘔吐反射は少ない
口から内視鏡を挿入する欠点は、嘔吐反射が起こりやすいということです。舌の奥には嘔吐をつかさどる神経があるため、スコープが触れると「オエッ」となる嘔吐反射が誘発されます。
鼻からの検査であれば、舌の上を通過しないため、嘔吐反射がおきる可能性はずっと少なくなります。
嘔吐反射は体内に異物が入ることを阻止するための正常な生体反応ですが、検査のために緊張していると、より反射が起きやすくなります。
嘔吐反射の出やすさは個人差があります。また、年齢が若い方が強く出やすい傾向があります。
そのため、若い方を含め反射の強い方であれば、やはり鎮静剤の使用を検討し、どうしても鎮静剤を使用せずに行う場合は鼻からの検査が適しています。
経鼻内視鏡は検査後の痛みや出血に注意
しかし、鼻からの検査の方にもデメリットはあります。それは細い鼻の穴を通過する必要があるということです。
アレルギー性鼻炎などで鼻の粘膜に炎症が起きている場合は、内視鏡が擦れることで出血を起こす場合もあります。
そのため、鼻の穴の大きさが内視鏡が通過するのにギリギリであった場合、検査後に鼻の奥に痛みがのこったり、鼻血を起こしたりする可能性があります。
鼻の穴の大きさは医師の技術でどうにかなるものではないので、鼻の穴が小さい方やアレルギー性鼻炎の方などは口からの検査が適しています。
楽で苦痛の少ない内視鏡検査を受けるためのコツ
ここまで経鼻内視鏡と経口内視鏡の違いをお話ししてきました。ここまで読んでいただいても「結局どちらにするか迷う」と思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実際のところ、いくら考えてもやってみないと分からないところもあります。
大丈夫だと思って口から内視鏡を挿れたら嗚咽がとまらなくてできなかった方もいますし、鼻からやったら鼻が痛くて検査どころではなかったという方もいます。
ただ一度ここでそもそもの原点に戻って解説したいと思います。
そもそも患者さんのほとんどは鼻からか口からかというのは正直どちらでもよくて、最も求めていることは「苦痛なく楽に胃カメラを行うこと」だと思います。
ここでは楽に胃カメラ検査を受けるための方法を少しお話しいたします。
鎮静剤を使用するのが一番楽
くり返しになりますが、最も楽なのは鎮静剤を使用することです。もちろん、鎮静剤の使用はわずかではあるものの副作用が伴う可能性があるため、デメリットがないものではありません。
また、鎮静剤の投与量や使用する薬剤などは検査機関によって異なります。私の経験上、鎮静剤の投与量を一律で固定している施設もありますし、患者さんが眠るのを確認せずに検査を始めてしまう医師もいます。
このような状況では、鎮静剤を使用したのにつらかったという事になりえることも注意が必要です。
そのため鎮静剤を適切に使用してくれる施設や医師に検査をお願いするのが好ましいです。では、どうやって施設を探せばいいのでしょうか。
残念ながら、患者さん自信で見極めることは非常に困難だと思います。医師である私であってもホームページをみるだけで判断することは不可能です。
上野消化器内視鏡クリニックでは鎮静剤の量を患者さん毎に調整し、必要以上の鎮静剤の投与は行いません。また、患者さんの意識がなく、眠っているのを確認してから検査を開始しています。
信頼できる医師を探す
内視鏡医として思うことは、鼻からであっても、口からであっても、上手い医師がやれば比較的楽に受けられます(どうしても嘔吐反射が強かったり、極度に緊張されていたりする場合などの例外もありますが…)。
逆に検査のスピードを重視したり、医師よがりの検査を行ったりしてしまう場合、苦しい検査になることが多いです。
ありがたい事に当院で検査していただいた方から「同じ口からの検査だったけど、今までで一番楽な胃カメラだった」といっていただけることも多いです。
結局、苦痛の少ない検査を受けるためには、検査が上手い医師を探すのが一番ということに他なりません。
検査が上手い医師であれば、どのような環境であっても、その中で最も楽な方法を模索してくれるはずです。
上野消化器内視鏡クリニックでは、日本消化器内視鏡学会認定専門医が様々なテクニックを使用し、快適な内視鏡検査を提供いたします。ぜひ、一度ご相談ください。
経鼻内視鏡がおすすめできる人・できない人の特徴
では、最後に経鼻内視鏡検査がおすすめできる人・できない人を簡単に解説します。
経鼻内視鏡がおすすめできる人
経鼻内視鏡がおすすめできる人の特徴は以下の通りです。
- 嘔吐反射が強い方
- 年齢が若い方(20~40代)
- 経口内視鏡でつらい思いをしたことがある方
- 検査中に声を出せないのが不安な方
くり返しになりますが、経鼻内視鏡のメリットはオエっとなる嘔吐反射を減らすことができることです。
歯磨きの時に歯ブラシでえずいてしまう方など、普段から反射が敏感に起きてしまう方にはおすすめです。
また年齢が若いほど反射は敏感におきる傾向があるので、20代~40代の方も鼻からの検査を第一に考えても良いと思います。
また実際に患者さんから相談されることで多いのが、過去に口からの内視鏡でつらい思いをしてトラウマがあるということです。
もちろん、やり方次第で口からでも楽に検査を受けることができますが、トラウマなどが理由で体の緊張がとれず、悪循環になってしまう方もいます。
このような時には、口からの検査にこだわらず鼻からの検査をおすすめします。
他に経鼻内視鏡検査の利点としては、検査中に声がだせることです。口からの検査では、口に内視鏡がはいるので喋ることはできません。
鼻からの検査では、検査中も医師と会話をすることができます。例えば、「鼻が痛い」といったことなども伝えることができます。
実際の検査中に話す必要があるケースは特にないのですが、いざとなったら話せるという安心感はリラックスする上では大切です。
経鼻内視鏡がおすすめできない人
以下のような特徴に当てはまる人は、経鼻内視鏡検査がおすすめできません。
- 鼻腔が狭い方
- 鼻血が出やすい方
- アレルギー性鼻炎などの鼻の病気を持っている方
- 血液をサラサラにする薬を内服している方
経鼻内視鏡は鼻腔を通して内視鏡を挿入するため、鼻腔が狭い人にとっては痛みが強く、また検査を受けられない可能性があります。
また、経鼻内視鏡検査は鼻の粘膜がこすれることで、検査後に鼻血が出る可能性があります。
鼻血がでてしまった場合などは、程度がひどいと耳鼻科を受診して止血してもらう必要がある場合もあります(当院では今まで一例もありません)。
そのため、普段から鼻血が出やすい人は特に注意が必要ですし、アレルギー性鼻炎などの鼻の病気を持っている人も、鼻の粘膜がむくんでしまい、鼻腔が狭くなってしまったり、鼻粘膜から出血したりする可能性が高くなります。
また、血液をサラサラにする抗血栓薬を内服していると出血のリスクが高く、血が止まりにくくなるため、鼻からの内視鏡検査はできません。
以上のような場合にあてはまる場合は経口内視鏡検査をおすすめします。
まとめ
そもそも苦痛の少ない胃カメラ検査を考えるなら鎮静剤の使用を考えましょう。
経鼻内視鏡検査では細い内視鏡を使用するため、施設によっては低画質な装置を使用するため、検査の質が落ちる場合があります。検査環境の整った施設を選びましょう。
経鼻内視鏡の利点は、嘔吐反射を軽減できることで、オエッとなることが多い方や若い方にはおすすめです。
経鼻内視鏡の短所は、鼻の痛みや鼻出血の可能性があり、鼻が狭い人や血液をさらさらにする薬を飲んでいる方は検査できません。
検査の上手な医師が行った場合、経鼻内視鏡、経口内視鏡のどちらでも比較的楽に受けることが可能です。検査の上手い医師を探しましょう。
上野消化器内視鏡クリニックでは、鎮静剤による苦痛の無い胃カメラ検査を行っています。
また国内でも屈指の内視鏡設備を導入しているため、非常に高画質な内視鏡を使用しています。そして、日本消化器内視鏡学会認定専門医による質の高い検査を提供しています。
今までの胃カメラ検査でつらかった経験がある方や、胃カメラ検査に不安がある方も、ぜひ当院までお気軽にご相談ください。
【参考】胃カメラ検査の流れ
最後に胃カメラ検査の流れをまとめておきます。これは鼻から内視鏡を挿れる経鼻内視鏡であっても、口から挿れる経口内視鏡であっても一緒です。
- 前日・当日の準備
- 問診・診察
- 検査前準備
- 内視鏡検査
- 結果説明
ここでは上記の流れについてそれぞれ解説します。
前日・当日の準備
胃カメラでは検査の際に胃内に食べ物が残っていると十分に観察ができません。そのため、食事に気を付け、胃をからっぽの状態にしておく必要があります。
前日は、夜21時までに消化の良いメニューで夕食を済ませておきましょう。
また午後に検査する方は少なくとも5-6時間前には最後の食事を終わらせましょう。この場合は食事量も少なめにすましておくことも大切です。
消化の良いメニューとしては以下のようなものが挙げられます。
- おかゆ
- 柔らかく煮込んだうどん
- ゼリー飲料
食物繊維が検査の妨げとなってしまうため、野菜や豆類、きのこ類、海藻などはなるべく避けましょう。
その後は、固形物の摂取を控え、お茶や水、スポーツドリンクなどの水分補給だけで済ませるようにします。
普段から服用している薬は、検査の2時間前までに内服しましょう。
ただし糖尿病の薬や血液をさらさらにする薬は患者さんごとに対応がかわりますので、検査前日までに一度ご確認をお願いします。
問診・診察
来院していただいたら、検査前に医師による診察を行います。アレルギーの有無なども含めて、安全に検査を行えるかどうかなどを判断します。
検査前準備
診察が終わったら、検査前の準備を行います。
胃の中の泡を消す薬剤を内服し、喉(のど)や鼻に表面麻酔のスプレーを行います。
鎮静剤を使用して検査を行う場合は、ここで腕に点滴を確保します。
内視鏡検査
鼻・口から内視鏡を挿入し、食道、胃、十二指腸を観察します。
検査にかかる時間は胃の中の状況で変わりますが、5分程度です。長くても10分あれば終了することがほとんどです。
鎮静剤を使用した場合は、薬の効果が切れるまで横になった状態で休憩していただきます。鎮静剤を使用していない場合は、そのまま待合室にお戻りいただきます。
結果説明
検査終了後、医師から実際の胃カメラの画像を見ながら検査結果の説明を受けます。
組織を採取する生体検査など精密検査を行った場合は、病理検査の結果がでるまで2週間程度必要です。その場合は、再度受診していただき、最終的な結果をご説明します。

